慰謝料の増額になりえる要因はある！でも、実はほとんど上がらない

慰謝料額に大きな影響を与える要因として、離婚の有無、婚姻期間、求償権があることをお伝えしました。

基本的に慰謝料額の計算をする際は、この3点だけ確認すれば概ね問題ありません。

まだ見てないという方は、まずはこちらをどうぞ。

ただ、「法律事務所のホームページに、それ以外の要因で慰謝料が高額になると書いてあった」と仰る方もいますので、念のため見ていきましょう。

まずは、慰謝料が増額すると主張できる要因の一覧をご覧ください。

一般的にこれらがあると慰謝料があがるとされていますが、あがったとして10万程度あがるかなという程度です。

むしろ、これらの事情があっても上がらないこともよくありますので、気にしすぎもよくありません。

それではひとつずつ見ていきましょう。

不倫の期間が長い、回数が多い

不倫の期間が長いと慰謝料額が高くなる傾向があります。

「長い」というのがどれくらいなのかというと、大体、1年以上続いていれば長いと言えるでしょう。

また、性行為の回数が10回以上あれば多いと言えます。

ただ、逆に、期間が短かったり、性行為の回数が少ないと慰謝料が減額される理由になってしまいます。

不倫相手の積極性が高い

不倫中、夫よりも不倫相手の方が頻繁に会おうとしていたり、そもそものきっかけが不倫相手だったということもよくあります。

夫も最初は不倫をする気なんてなくて、LINもは不倫相手からしか送ってなくて、夫は返信していただけという場合もあるでしょう。

たしかに、「不倫相手が積極的だった」という事情にって、多少金額が増えるということはありえます。

ただ、それはその他の事情も含めた交渉の結果であって、積極的ということのみでの増額は基本的にありません。

不倫相手の方が積極的であったとしても、それを夫が単に受け入れてるという状況であれば、慰謝料額に影響を与えないのが実情です。

もう少し進んで、「最初は夫も断っていたけど，しつこく誘われ、結局断りきれなくて、仕方なく不倫した」という場合はどうでしょうか。

この場合も結局誘いに乗っているわけですから、金額にほとんど影響はないと考えてください。

さらに、ほとんどありませんが、無理やり性行為をさせられたという場合であれば、金額に影響が出ると思われます。

しかし、その場合、刑事事件になりえますし、無理やりとは言っても一緒にホテルに入っている等の事情があれば、そもそも本当に無理やりと言えるのか、という問題もあります。

つまり、「不倫相手が積極的だった」については、よほどの事情がない限り、金額が増えるということがありません。

不倫相手が高給取りである

不倫相手の職業が医師等の一般的に高給と言われている職業である場合、慰謝料が増える傾向はあります。

ただ、これは高給取りであるから増額されるというよりは、お金で解決できるなら支払うという人が多い印象です。

裁判をするくらいなら、相場より高い金額を払ってでも、円満に解決しようとする人たちです。

「お金で解決できるなら早く終わらせたい」と不倫相手が考えている場合には慰謝料額はあがりやすいです。

そのため、単に高給取りであることが慰謝料の増額要因となることはほとんどありません。

子供がいる

あなたに子供がいる場合、慰謝料があがる可能性があります。

ただ、子供が成人しているのであれば、それは対象外です。

成人していないお子さんがいらっしゃるということであれば、その点は主張すべきです。

なお、成人していても経済的に自立できていない場合は該当することがありますが、あまり深く考えなくていいでしょう。

しかし、これも大幅に金額を上げる要因ではなく、あくまで10万円～あがればいいという感覚です。

ほとんど金額に影響してこないこともありえます。

不倫の影響で鬱状態になった

夫の不倫が発覚したら、間違いなく体調に影響が出ます。

私自身も不眠や吐き気などで仕事が手につかない状況になりました。

今思うと、鬱の初期症状であったと思います。

あなたも辛い状況にあると思いますので、ご自身の体調と相談して、無理だと思ったら、すぐに病院に行くことをお勧めします。

しかし、仮に、病院で鬱病だと診断されたとしても、それだけで慰謝料額があがることはほとんどありません。

もちろん、病院の領収証やお薬手帳、診断書等を証拠として示すという方法をとることはよくあります。

ただ、それでも鬱病だから金額が上がるということはほぼないと考えてください。

不倫相手が嘘を吐いていた

仮に、あなたが不倫相手と話しをしたとして、その際に例えば「性行為は１回だけ」と不倫相手が言ったとします。

しかし、調べたり、夫から話を聞いた結果、本当は5回あったとしましょう。

不倫がバレたにも関わらず、嘘まで吐いていたことは到底許せるものではありません。

ただ、残念ながら、嘘を吐いていたということで慰謝料額があがることもほとんどないのが実情です。

例外的に、不倫相手が「不倫はしていない」と主張し、裁判でも同じ主張を続けていましたが、最終的に不倫の証拠が出てきたことがありました。

その後、証拠を出されて初めて不倫を認めたという不倫相手の態度を、悪質であると裁判所が判断し、相場よりも高額になったということはありました。

そのため、不倫相手の吐いた嘘が客観的にみて極めて悪質であるという場合には、金額があがることもありえます。

あなたにとって、不倫相手の吐く嘘は全て悪質と感じると思いますが、基本的には上がらないと考えるべきです。

まとめ

慰謝料額があがる可能性のある要因をみてきました。

これまでに説明した通り、あがる場合であっても10万円前後であり、これらの要因があってもあがらないことも多いです。

ただ、ひとつだけではあまり意味はなくとも、いくつかの要因を積み重ねて、交渉を有利に進めたりすることはできます。

事前に慰謝料額の計算をする際には、気にする必要はありませんが、弁護士への相談や、相手との交渉の際には積極的に主張していきましょう。