不倫の証拠として使えるものの具体例と単体では使えないもの

不倫相手に慰謝料を請求する場合、不倫の証拠を集めることが大事になってきます。

自分では証拠と思っていても、意外にも証拠としては使えないものもありますので、何が証拠として使えるのかを確認していきましょう。

SNSのやりとり

夫の携帯を見た際に不倫相手とのSNSを見つけ、そこで初めて不倫されてたことを知るという方も多いでしょう。

そのため、不倫の証拠として最も多いのが「SNSのやりとり」です。

ほとんどがLINEですが、インスタのDMでもFacebookでもショートメッセージでも、文字としてデータが残っているものであればなんでも大丈夫です。

もう少し具体的に、どんなやり取りが証拠として使えるのかを見ていきましょう。

直接的に「エッチ気持ちよかった」や2人が裸でベッドの上にいる写真を送信している等があれば、それで十分です。

しかし、そういう直接的なやり取りが無い場合もあります。

その場合は、「昨日、ホテル楽しかったよ」だとか「〇月〇日の旅行楽しみ！」等、2人でどこかに宿泊したと思われるやりとりがあれば、それが証拠になります。

大切なのは「宿泊した」という事実なので、例えば「愛してる」だとか「好きだよ」という好意を表すメッセージに関しては、そこまで重要視されません。

ただ、裁判では、好意を表すメッセージが必要となる場面もありますので、そういった部分も取得しておくに越したことはありません。

また、不倫をしていた期間も大事になりますので、可能であれば、初めて不倫が行われたと思われるやりとりも見つけていただきたいです。

次にSNSのやりとり（主にLINE）を証拠として使う場合の保存方法ですが、大きく分けて2つあります。

トーク履歴をテキスト化して保存する場合、長いやりとりの全部を保存することができますので、不倫の詳細を把握することができます。

また、今は不倫の詳細を確認する精神状況に無いけど、とりあえず証拠は残しておきたいという場合にも使えます。

ただ、テキストベースなので、いくらでも改竄ができてしまうとも考えられます。

もちろん、あなたは改竄なんてしないでしょうし、事実していなかったとしても、不倫相手が「改竄されてる！」と主張してくる可能性も0ではありません。

ちなみに、これまでの経験上「改竄されてるかどうか」を争ったことは1度もありませんので、基本的に改竄を主張してくることは稀だとは思われます。

それでも、可能であれば次に説明する写真や動画で保存することをお勧めします。

夫の携帯やパソコンからSNSを開いて、証拠となるやりとり部分を自身の携帯カメラで写真に撮るという方法が最も一般的です。

その際、やりとりをしている年月日も併せて写すように撮れれば最高です。また、該当部分のやりとりだけではなく、その前後の部分も写真に撮っておきましょう。

具体的にどの部分を写真に撮ったらいいか分からないという場合、動画でも問題ありません。

LINE画面を自分の手でスクロールさせて、そのスクロール画面を録画しておけば大丈夫です。

その動画自体を証拠として利用するというよりは、その動画の使えそうなところで停止させて、その停止したところのLINE画像を証拠として利用することがほとんどです。

そのため、書かれている文字が確認できるよう、ある程度ゆっくりスクロールさせた方がいいでしょう。

さて、では、どうやって不倫相手とのLINEを確認するかですが、大きく分けて３パターンです。

１つ目、夫に見せるよう伝える。

すでに夫が不倫を白状しており、あなたに全面的に協力してくれている場合、素直に見せてくれるはずですので何の問題もありません。

２つ目、夫が気づかない隙に盗み見る。

証拠が不十分で不倫してることを指摘してもシラを切るような場合は、どうにかして携帯電話を見る必要があります。

寝てるときとかお風呂に入っているときに携帯チェックをしている方がほとんどです。

ただ、携帯を盗み見る行為自体はプライバシーの侵害に該当する場合もあります。

しかし、夫婦間で、しかも不倫の証拠を掴むために見たという行為に対して、あえてプライバシーの侵害で訴えてくるという人はほとんどいません。

また、裁判所も盗み見たことに対してなんらかの指摘をしてくることは基本的にありません。

３つ目、夫の携帯電話と自宅のパソコンが同期しており、それを利用してパソコンから見る。

この場合、パソコンから覗き見る行為が、不正アクセス禁止法に抵触するとかしないとかの議論がありますが、基本的には気にしなくていいと考えられます。

可能性だけの話になってしまいますと、不正アクセス禁止法に当たる可能性は当然ありますので控えた方がいいという結論にはなります。

ただ、夫婦間のパソコンでの盗み見程度で警察は動かないとは思われます。

また、パソコン上でLINEがすでに開かれていて、改めてログインしなくてもLINEを確認できる状況であれば、不正アクセス禁止法には抵触しないという判例もあります。

そのため、この方法で取得した証拠を裁判所が採用しないということも基本的にないと言えるでしょう。

犯罪行為を推奨する意図はありませんので、ご自身の判断に基づいて行動いただけますと幸いです。

画像フォルダ

不倫相手との思い出を携帯で写真に撮って残していることがあります。

不倫相手だけの写真よりも、不倫相手と夫が2人で写っているものの方が効果的です。

これだけだと不倫があったことの証拠としては弱いんですが、親しい関係にあったということは確認できますので、写真があったら保存しておきましょう。

ドライブレコーダー

夫が車を運転する場合、ドライブレコーダーの記録も証拠として有効な場合があります。

例えば、不倫相手を車に乗せてホテルへ入っていくという映像があれば、それがそのまま証拠になり得ます。

ただ、不倫相手が車体の前とか後ろを通らないと、姿までは見えませんので、できれば不倫相手の容姿が映っている場面も取得したいところです。

また、ドライブレコーダーは車内の音声も録音されていますので、不倫相手と電話で話しているような場合に、その会話の中で不倫を思わせるやり取りが出てくることもあります。

これも証拠として利用できる可能性はあります。

しかし、この場合も電話の相手が具体的に誰なのかの特定が難しいことが多く、証拠としては使えないこともあります。

録音

自宅や車に盗聴器を仕掛けておき、そこで不倫が行われた場合、その音声が証拠となります。

これもプライバシー侵害等の各種犯罪に該当する恐れがありますが、自宅や自分も利用する車に盗聴器を仕掛けることが犯罪に該当することは基本的にありません。

しかし、音声だけだと名前を呼ばない限り、誰が不倫相手なのかを特定することは難しい場合が多くあります。

また、そもそも音質が悪かったり、話し声が小さすぎたりで、それ単体で証拠とすることは少ない印象です。

盗聴器の購入や音質の確認等の手間があるわりには、証拠としての価値がそこまで高くないと思われます。

その他の証拠資料

　次に単体では証拠として利用できないけど、不倫があったかもしれないと思わせる資料を列挙していきます。

これらは、「不倫相手と夫の2人が不倫をしていること」が判断できないため、単独では証拠として利用できない場合がほとんどです。

例えば、ホテルのポイントカードやクレジットカードの利用明細は、夫が誰と一緒にホテルを利用したのかが確認できません。

携帯GPSも誰とホテルに行っているのかまでは分かりません。

手紙は内容によりますが、名前や「ホテルに行った時～」のような記載が無ければ、証拠としての価値も低くなります。

探偵資料が必要かどうか

不倫の証拠で忘れてはならないのが探偵資料です。

なんの証拠も持っていない場合、探偵に依頼するのは一つの手段であって、実際に多くの方が探偵に依頼して不倫の証拠を取得しています。

探偵に依頼することのメリットは、自分で対応しなくてもしっかりとした証拠を取得することができること、不倫相手の自宅や不倫相手が誰なのかが分かる可能性があることです。

不倫相手の自宅住所が判明した場合、慰謝料の請求がしやすくなります。

また、どこの探偵に依頼するのかにもよるとは思いますが、ほとんどの探偵事務所が報告書という形式で、夫と不倫相手の逢瀬の様子を写真に記録したものを提出してくれます。

写真としてしっかりと証拠を残してくれますので、探偵の報告書があったけど不倫が認められなかったということはおよそ考えられません。

ご自身の力では証拠資料を集めることがどうしても難しい場合、探偵に頼むのは有効な手段です。

では、探偵に依頼するデメリットはなんでしょうか？

それは圧倒的に費用がかかるということです。

探偵のホームページを見ていただければと思いますが、少なくとも数十万円は掛かりますし、調査期間によっては100万円以上の費用が掛かる場合もあります。

探偵に依頼する際は、「夫が、〇月〇日に出張に行くと言っているが怪しいので追跡してほしい」というような感じで頼むことが多くあります。

その日は本当に出張だったとか、出張ではないけど不倫相手とは会っていなかったとなった場合、証拠は掴めていないけど費用は掛かるというところがほとんどです。

その場合、日を改めて再依頼することになるでしょうから、その際にも費用が掛かり、結局、最終的に多額の費用が掛かってしまうことも考えられます。

お金なんか関係ない！とにかく不倫の証拠を掴みたい！という人は、依頼しても問題ありませんが、多くの方が金銭面でも不安を感じていることと思います。

そのため、探偵に依頼する前に、まずはご自身でできることがないかを改めて検討してみることをお勧めします。

また、費用の点に関して、探偵に払った費用を不倫相手に請求すればいいとお考えの方もいるかもしれません。

もちろん、不倫相手に請求してみて、すんなり払ってくれれば何も問題はありません。

ただ、基本的に「探偵費用は不倫相手に支払わせることはできない」というのが裁判所の見解です。

さらに、探偵費用だけで100万円以上の費用が掛かってしまった場合、仮に不倫相手に慰謝料を支払わせることが出来たとしても赤字になってしまう可能性が高いです。

探偵に依頼する場合は、その前にご自身のお財布事情や何か別の手段で証拠を取得することはできないか等をしっかり考えてから依頼した方がよいでしょう。

さて、では、自身で探偵の真似事ができないか、と考える方もいるかもしれません。

結論から言ってしまうと、可能です。ただ、相当難しく、時間と忍耐が必要になります。

以下、ご自身で対応される場合のアドバイスです。

まず、探偵が不倫の証拠として出してくれる「報告書」の中で大切なものは２つだけです。

• 夫と不倫相手が家もしくはホテルに入った時の写真
• 夫と不倫相手が家もしくはホテルから出てきた時の写真

この写真２枚が撮れてさえいれば、不倫の証拠としては十分です。

ホテルや不倫相手の家に2人で入っていく写真の日時とホテルから出てきた日時も記録しておいてください。

携帯のカメラで写真に撮った場合、自動的に日時も記録されるかと思いますので、あえて気にしなくても大丈夫です。

ホテルや家に入ってから出てくるまでの時間が数分であれば、不倫があったとまでは言えませんので、少なくとも数時間は滞在していたということが必要です。

また、入ったホテルがいわゆるラブホテルであれば問題ありませんが、ビジネスホテル等であった場合、「別々の部屋に泊った」と主張されてしまう可能性もあります。

そのため、ホテルの入り口だけではなく、同じ部屋に入っていく様子も写真で撮れた方がよいでしょう。

夫が不倫相手と会おうとしているような気がした際、こっそりと尾行したり、ご友人に頼んで、こういった写真を撮れれば、わざわざ探偵を雇う必要はありません。

しかし、尾行や盗撮がバレる危険性を考えると素直に探偵に依頼した方がいいとも思います。

まとめ

まずは、不倫相手と夫のSNSやりとりを取得することができないかを検討するのがよいかと思います。

それが難しい場合にその他の証拠を探せばよいでしょう。

また、そもそもの話になりますが、ここでいう「証拠として使える」というのは、「不倫があったと裁判所が認めてくれる可能性が高い」という意味です。

例えば、夫婦間での話し合いだとか、不倫相手と直接話をするような時には、クレジットカードの明細等の資料を突きつけてみるという使い方は有効かと思います。